記憶と軌跡

いつの日か 世界は 共に歩む    番外編・雪華

・ いつの日か 世界は 共に歩む    ゆき編 ・

エピローグ   それぞれの戦い  【『雪華』】


・・・暗い

ここは、どこ?

『桜が キレイだな』

突然 声が頭に響く

桜って 何?

『あの星座 何だ?』

星なんて 見えない

『この前みた映画 DVDになったぞ』

この前・・・ この前っていつ?

声の主の姿を探す

・・・誰もいない・・・


記憶は断片的で

断片的なものも 意味がわからない

「誰か・・・」

声は 虚しく

「お願い」

どこまでも続く 闇のなかに

「助けて・・・」

消えていくばかり

「・・・寒い」

自分を抱きしめた腕に 冷たい雫

「うっ・・・ うぅ・・・」

わからない

どうして こんな場所にいるのか

どうして 何も思い出せないのか

自分が 誰なのかさえ・・・


伊織「なっ!?」

雪華「まぶし・・・」


声は 突然聞こえた

男の声には なぜか聞き覚えがあった

女の声は・・・

どうして

どうして アタシがいるはずの場所に

アタシに そっくりな女がいるの?


何かが 自分の中で 音を立てて 弾けた

「相変わらず 単純だね」

言葉は 勝手に出た

アタシは この女を知っている

ワガママで 自分に甘くて

一人じゃなんにもできないクセに

強情で 自分勝手で

そう

アタシ・・・

―虫唾が走る―

思ったときには

持っていた剣で

女を貫いていた。

「アンタさ 現実キライなんでしょ? アタシがもらっちゃってもいい?」

わかってる

この女が アタシを創った。

この女が死ねば

アタシも消えるかもしれない

でも・・・ それでもいいと思った

「そのまま寝てなよw アンタがしたくて出来ないこと 全部やってあげるからさ」

自分の情けない姿というのは

これほど 腹が立って

これほど 悲しいものなのか・・・

男が 武器をかざして 襲い掛かってきた

男・・・ 伊織にとって アタシは敵なのね

「アハハハハ 伊織カッコイイねぇ 今度からアタシも守ってよw

 そこに転がってるのより よっぽどマシだと思うよ?」

自虐的になる

抵抗しない雪華に さらに腹が立つ・・・

―泣きそうになる

いざというとき 守ってもらうばかりの自分。

伊織を気絶させた。

少し 黙っててもらう

「ツマンナイの もうちょっと楽しめるかと思ったのに

 やっぱりアンタって 一人じゃなにもできないんだね。

 でもキモチわかるよ?

 期待されて出来ないよりも 最初から出来ないって思われておけば 楽だもんね?

 だから自分でも言うし すぐ誰かに頼るんでショ?」

雪華は 動かない

唇が 微かに震えただけ・・・

―泣きそうになる

「マァいいや。 アタシも自由になれたんだしw

 そうそう アタシを創ってくれたこと そこだけはカンシャw」

伊織の腕から リストバンドを外して 落とす

アタシを 探して

アタシを 倒して

やればできるってこと

アタシに 教えて。

―泣きそうになる

アタシは どうして存在しているの?



『雪華 いくよ!』

雪華「待ってw ちょっとくらい休ませてよ~」

『甘い、甘い、甘い! ほら、次は足!』

雪華「鬼ぃぃぃ」

言いつつも 雪華が足に集中するのがわかる

全身を変化させるのは 体に負担が大きすぎる

ナノブラストしたまま気絶などすれば 欠片はすぐ奪われてしまうだろう

結局は 雪華の意思が 体を支配しているのだから。

そこで2人で出した結論が 『少しずつ慣らしていく』だった。

最初は加減がわからなくて

毛深くなっただけ、とか 逆にどうやって戻るの、とか いろいろあったけど。

そうしているうちに 一部分だけナノブラスト強化、ということもできるようになった。

雪華「はぁ はぁ はぁ・・・ でもさ、これって やっぱりヘンだよ~」

全身の3分の2が足という アンバランスな形になって。

『つべこべ言わない。 ほら、そのまま あの木までダッシュ!』

雪華「あの木って・・・ まるっきり山1個むこうじゃない!w」

『何のために ハーフブラストしてんの? 俊敏性と移動力あがってるから余裕よ』

雪華「じゃああの木まで行ったら交代! 次ゆきのテク練習!」

どういうわけか 雪華が明確に交代の意思を持てば アタシも肉体を支配できた

そしてお互いに 得手不得手があることもわかった

『えぇ~・・・ こないだゾンデレベル上がったとこじゃん』

雪華「なんでわざわざ ゾアルに雷落としたの?w」

『う・・・ だって切り替えが上手くいかなくって』

雪華「ね? 苦手は克服しないとねw」

『わかったよ、じゃあとりあえず あの木まで』

雪華「まかせといて!」

一度ぴょんと飛び上がって 体勢を低くして走る

風が気持ちいい・・・

雪華が アタシにも感じられるように 感覚を共有してくれてるのがわかる

アタシは いつ消えてしまうともわからないけど

少しでも長く こうしてアンタといられたら・・・

目を閉じて らしくないことを思う。

このまま 時が 止まってしまえばいいのに・・・


風が突然止んだ。

いくらなんでも 到着には早すぎだけど・・・

「君が 雪華? 変わったことをしているね?」

目の前には ビーストの男が立っていた

「最近 この辺りで 欠片をみなかったか?」

『欠片』のことを 知っている・・・!

緊張したアタシに対して 雪華は平静だった。

雪華「さぁ? 欠片って何のことですか?」

こういうときは 雪華のほうが うまく回避できる・・・

アタシたちは まだ不完全だから。

そう思った矢先

雪華が 急に後ろに飛びのいた

男が伸ばした手の先に 黒い刃の 懐刀が握られていた

「いい反応だ。 それも欠片の力だね」

雪華「・・・あなた 誰です?」

「あぁ 失礼。 僕はベイダー。 女性に手荒なことはしたくないんだけどな」

黒い刃を揺らしながら 値踏みするように見る。

『雪華・・・ どうする?』

冷たい汗が 背中をつたう・・・

そのとき

すぐ近くに もうひとりいたことに

その場の誰も 気付くことはなかった。


【『雪華』】終
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by sakurayukika | 2008-05-09 00:59
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小説用です
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