記憶と軌跡

いつの日か 世界は 共に歩む   act.10  いつか・・・

・ いつの日か 世界は 共に歩む    ゆき編 ・

act:10   いつか・・・


コギー「! この声・・・まさか!!」

突然聞こえた声に 驚いて絶句する・・・ 

声は 空いたままの亀裂から聞こえていた

『お久しぶりです、コギーさん。 その節はどうも』

伊織「あれ、シンシアさん まだ用が」

シンシア「大有りです。 貴方には次に行ってもらいますよ」

言いかけた伊織さんの言葉を 予想していたように遮って。

シンシア「雪さん。 想う、という気持ちは 何より強いのです」

雪華「シンシアさん・・・ 本当に、シンシアさんなの?」

コギー「いいえ、そんなわけない! だってあのとき・・・!」

コギーちゃんが取り乱すように言う。

シンシア「ええ。 私も そして貴女も」

キャストであるコギーちゃんの顔が 青ざめたように見える。

シンシア「安心してください。 今手をだすつもりはありませんよ」

そう聞くと 今度はカッとした顔で 亀裂を睨みつける・・・

伊織「・・・俺はシンシアさんに助けてもらったんだ」

雪華「ずっとどこにいたの?」

伊織「空間の狭間に。 『雪華』が俺を連れ去ったとき 空間移動に失敗したんだろうな」

『重量オーバーだったみたい。 重いんだもん、落っことしちゃったのよ』

『雪華』の 拗ねたような声が響く。

伊織「ある時、目の前にデカい木があって 誰かと会ったんだが・・・その時に思い出した」

私を見て 私の腕を 落としていったリストバンドを見る

伊織「桜の 記憶を」

シンシア「困っていたので 私と取引したのですよ」

その言葉に はっとして言う

伊織「あー、そうだそうだ。 雪のとこに連れていくかわりに なんか言うことを聞けとか」

シンシア「そういうことです。 さぁ行きますよ」

伊織「いや待て待てw 早いだろw」

シンシア「貴方に休息なんてありませんよ」

亀裂から 光の帯のようなものが伸びて 伊織さんを捕らえた。

雪華「ちょw シンシアさんってば!」

コギー「待ちなさい!」

鋭く呼びかける

対して

シンシア「先ほども言いましたが 今は 貴女と争う時ではありません。 それに」

台本でも読んでいるように 落ち着いた声

シンシア「調べてみてください。 今は雪さんから 欠片の反応はないでしょう?」

すぐにコギーちゃんが 通信機に手を当てる

伊織「俺 どこに連れて行かれるんだ?」

シンシア「それは秘密です。 雪さん、貴女もこれからのことに備えないといけない」

雪華「これから・・・ どういうこと?」

シンシア「まず、その能力。 『雪華』に乗っ取られる形ではなく 自分の意思で発現を」

コギー「危険よ! 失敗したらただではすまないことに」

シンシア「でも必要でしょう。 欠片を持っている限り、狙われるのです」

コギー「欠片の反応・・・確かに無いわね? どうして?」

シンシア「『雪華』がもっているからです。 だから」

コギー「『雪華』が現れなければ 欠片も感知できない・・・?」

何かに気付いて 伏し目がちに考え込む。

今まで そんな事例はない・・・

伊織「ナノブラストしてる時は 雪だけど雪じゃない、って言ってたな」

シンシア「そうです。 ナノブラスト中は センサーに掛かるでしょう」

雪華「でも・・・ しなきゃいけないときがくる?」

結局意味がわからないまま。

不安だけが 頭を掠める。

シンシア「・・・意思、ですよ。 貴女の強さは。 でも、誰かといると甘えてしまうでしょう?」

反論なんて できるはずがなかった

この世界に来る前から 私はシンシアさんに 頼りっぱなしだったのだから。

シンシア「乗り越えたら その能力を使いこなせたら ある男を倒せるかもしれない」

コギー「・・・ナノブラストの使い手」

シンシア「さすがコギーさん。 雪さんは、彼を止めるのに適任だと思いませんか?」

コギー「どうして? あなたは 何を企んでいるの?」

シンシア「答えなど、わかっているでしょう?」

楽しそうにも聞こえる声は 「内緒です」と続けた。

雪華「その人も 欠片を狙っているの?」

シンシア「ええ。 良からぬことを企んでいる人も 逆にそれを止めようとしている人も

      ・・・コギーさんのように 貴女のことを思って、欠片を渡せと言う人もいます」

コギーちゃんが 困った顔をする

コギー「雪ちゃんが持っていたいというなら 無理には奪えないけどね」

伊織「コギーさん! 雪頼んでいいか?」

いつの間にか 亀裂のギリギリまで引き寄せられた 伊織さんが叫ぶ

シンシア「だ・か・ら。 伊藤さんは何度言ったらわかるんですか?」

困ったような声に 少しだけ怒りを交えて言ったその言葉が

なんだか珍しくて 伊織さんが怒られた子供みたいに見えて

こんな状況なのに 少し 笑ってしまった。

雪華「大丈夫よ まかせて! 次に会うときは 私のが強くなってたりして!」

その言葉に 少し驚いた顔をして

伊織「そうか。 お前はお前らしく、か」

どこかで聞いた台詞

コギー「いつでも 振り返れば仲間がいる。 雪ちゃんは一人じゃないからね」

ふいに 思い出した

 『意味の無いことなんてない 意味のない言葉なんてない

  つまづいた時に 笑って微笑んで 夢を見て 誰かを好きになって 仲間と歩いていく

  ただ、そこに 私がいたということが 何よりも 重要なのだから』

いつか 桜の下で あるキャストに言った 自分の言葉・・・

シンシア「自分を誇れることは 何よりも証になるんですよ」

コギー「いつもの 元気な雪ちゃんならダイジョウブだね!」

伊織「何かあったら 呼べよ!」

シンシア「・・・伊藤さん」

伊織「スイマセン」

伊織さんの姿が 見えなくなった。

閉じていく亀裂に 声をかける。

雪華「必ず また会えるから! そのときは一緒に 還ろうね」

伊織「もちろん」

雪華「シンシアさんも!」

シンシア「ええ。 そうなったら 良いですね。 いつか・・・」

いつものように はぐらかされた気がしたけれど。

亀裂は 完全に なくなってしまった。

その空間を見つめて 動けないでいた私を

後ろから 優しく抱きしめて コギーちゃんがつぶやく。

コギー「雪ちゃん。 私もそろそろ行くからね?」

雪華「うん、ありがとうね。 コギーちゃんも頑張って!」

コギー「うん・・・ あのね、私は 次会うときはきっと、違うけど・・・ 同じだから!」

雪華「?」

コギー「会ったらきっと、わかるよ。 彼も・・・」

抱きしめる手に 一度ぎゅっと力を込めて

ゆっくりと離れた コギーちゃんを振り返ると

俯いていた顔を ぱっと上げて 笑った。

コギー「またね! さ~、お仕事お仕事♪」

大袈裟に 手を振る。

そうしないと 別れられないとででもいうように。

負けないように 手を振る。

雪華「またね! 私もがんばるから! また会おうね!」

コギー「もっちろん♪ あ、今度剛掌派を伝授してあげるね~♪」

雪華「それ!w 楽しみにしてるw」

コギーちゃんが 走り出した。

コギー「雪ちゃ~ん♪ モエモエだよ~・・・」

遠くなる背中

雪華「コラw ヘンなこと叫ばない!w」

聞こえたかどうか 分からない声

雪華「コギーちゃん ありがとう」

完全に姿が見えなくなって つぶやいた。

どこに行こうか 考えながら

今までのことを 思い出す。

手探りでも歩いてきたから いろんな人に出会えた

迷っても諦めないなら これからも道は開けるだろう

自分の中にある存在が 声をかけてきた

『雪華 みてみなよ』

いつの間にか みていた地面

顔をあげる

支天閣からは

遠くの山々 高い空 霞む景色

これから歩くだろう道が

どこまでも 続いていた。

【Fin】
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by sakurayukika | 2008-05-05 13:57
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小説用です
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