記憶と軌跡

いつの日か 世界は 共に歩む   act:2   違和感

 ・ いつの日か 世界は 共に歩む    ゆき編 ・

act:2   違和感



遠くにそびえ 白く霞むオウトク山

カラフルな布は ひらひらと風に舞い

グラール教団総本部 昇空殿は荘厳な雰囲気を漂わせていた。

その前の広場 オウトクシティ 中央で

静かな湖面を・・・湖面に映った自分の顔を みつめていた。

コギーちゃんが「ちょっと本部よって来るね」と言い残し

走っていってしまってから すでに小一時間は経過したように思う。

蓮の咲いている湖面

爪先を少し水に浸して ぱしゃぱしゃと跳ね上げる。

自分の・・・『雪』の顔が ふにゃり、と歪む

雪華「・・・もうちょっと、美人にすればよかったかな?」

なんだか言ったことのあるセリフに クスリと笑みがこぼれる。

そういえば

海へ行ったときにも

こうしていたことが あったような・・・

靴を脱いで スカートが濡れないように 膝くらいまで、と思ったのに

まだ水が冷たくて 入ったとたんに飛び上がった私に

「まだ6月だから無理だよ」 そういって笑ったっけ・・・


でも 気持ちよさそうだったもん

最近日差しも強くなってきてるしさ

「まぁな 今日はいい天気だし」

でしょ?

「だが 風はまだ冷たい」

あなたが寒がりなのよw

「お前は暑がりだからなぁ」

海さ 入るのは無理でもほら 爪先気持ちいい♪

「また体冷やすぞ」

大丈夫だもんw

「よく言うよ こないだも風邪ひいて 熱出したくせに」

あれね、おっかしいなぁ・・・ なんでわかったの?

心配性なんだから 隠してたのにな。

「お前の様子が変なのを 俺が気付かないはずないだろう」

あらw じゃあず~っと面倒見てもらおうかなっ

「しょうがねぇなぁ・・・ ほら、海風は体によくないって」


苦笑は近くから聞こえ 肩にふわりとコートがかけられて

振り向くと 優しい目で私を見る 彼の顔が・・・

・・・あれ?

顔・・・?

どんな顔だったっけ・・・

いつも一緒にいてくれたのに どうして?

あれ?

彼って

彼の名前は 何だっけ・・・?

「・・・ちゃん」

待って もうちょっと考えさせて

「雪ちゃん!」

うるさいなぁ 雪って何よ? 私は・・・

私は?

「雪ちゃんってば!」


はっと、気付く。

コギーちゃんが私の肩に手をかけて 顔を覗き込んできている。

雪華「ん、あ、おかえり」

コギー「ぼーっとして、大丈夫? 心配なのはわかるけど、雪ちゃんが倒れないでね?」

雪華「え? いや今別のこと考えてて・・・ あれ? なんだっけな」

頭上にクエスチョンマークをいっぱい浮かべた私を見て コギーちゃんがため息をついた。

コギー「今ね、本部に問い合わせたんだけど あ、雪ちゃんも1回行ったほうがいいかも」

矢継ぎ早に言うが早いか、私の手をとって 本部のほうへ向かう。

されるがままに到着した本部は なんだか慌しい雰囲気だった。

カウンターに向かって怒鳴り散らしている キャストの男性

泣きながら誰かに何かを告げている ニューマンの女性

ふと

見知った姿が視界に入る

でも 目で追ったときには もうその姿はなく・・・

余所見をしていて いつの間にか離れてしまったコギーちゃんに追いついて聞く

雪華「ここにいる人たちって まさか・・・」

コギー「なんだかね やっぱり数人がゲームの中に入ってるみたい」

雪華「そっか・・・ どうしてだろうね?」

カウンターにつくと コギーちゃんが何かを告げて

キャストの女性が 値踏みするように私を見た、と思った。

「雪華サンですね。 これをドウゾ」

渡されたそれは 今つけている通信機と同じような形をしてはいるけど・・・

コギー「そっちのガ最新式なんダッテ。 つけてナよ」

素っ気無く言ったコギーちゃんに 違和感を感じながらも通信機をつけかえる

コギー『テス、テス。 こちらコギー 雪ちゃん聞こえる?』

雪華「うん、聞こえるよ」

コギー「通信機使わなきゃ 意味ないじゃないw」

雪華『あ、そうか。 良好です、どうぞ』

コギー「じゃ、いこっかw 桜の名所あるって~♪」

雪華「うん 本部の用事は終わったの?」

コギー「ん~ 連絡待ちって感じ。 あとね・・・仲間に、会えるカモよ?」

雪華「仲間?」

コギーちゃんは問いかけには答えず 2人はフライヤーベースから飛び立った・・・


【 グラール太陽系: ニューデイズ   山中  】

雪華「っきゃぁぁぁぁ!」

突如飛来した生き物に 驚いて悲鳴をあげ さらに敵の目をひいてしまう

ゲームの中では見慣れた敵でも 間近で見ると 異様さと恐ろしさで震えがくる

コギー「雪ちゃん!」

片手銃を構えて 狙いを定める カチリ、とした動きは

機械のような精密さを彷彿とさせ 敵は射抜かれて墜ちる

・・・こうしてはいられない!

ナノトランサーと呼ばれるそれに手を伸ばし

右手に鞭を 左手には魔道具を出現させる。

雪華「やぁっ!!」

突撃してくる コルトバと思しき動物に 力いっぱい鞭を振るう!

が。

虚しく空を切った鞭は 地面を抉っただけにすぎなかった。

コギー「ちょw 雪ちゃん不器用!!w モエ」

雪華「あぁぁぁ こういうとこはそのままなのね!!」

ダッシュで距離をとり 今度は魔道具を正面に構える

雪華「・・・燃やし尽せ! ギ・フォイエ!」

発動は うまくいった。

辺りが炎に埋め尽くされて 肉の焦げる 嫌な臭いが鼻をつく・・・

雪華「・・・う」

コギー「すごいね」

幸いなことに、臭いは一瞬で消えた

雪華「・・・鞭練習しよう・・・」

コギー「あははw でモ ちょット急ぐね」

そういうと おもむろに右手を上げる

コギー「・・・SUV転送・・・」

瞬間

赤い光が溢れて 敵の姿が宙に浮いて ブレたように見え

そして光が収まったときには 敵の姿はどこにもなかった

雪華「すごい・・・」

コギー「これがコギー剛掌波よっ!!」

雪華「イオリさん、死んじゃわないといいけど・・・」

コギー「さ、いこいこ~♪」

冷や汗をたらした私を 完全に無視して

鼻歌を歌いながら 私と腕を組む彼女。

その瞳が笑っていないことに

私は気付くはずもなかった・・・

【to be continued】
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by sakurayukika | 2007-11-29 18:29 | 小説
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小説用です
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